２０００／１／２７
昨日の番付編成会議で貴ノ浪の大関復帰が正式決定したが、一方では元十両の嵐・鳥海龍らの引退も発表された。嵐は同郷の安芸ノ州が関取となったことに刺激を受け、十両の座をつかんだが、２場所勤めた後は幕下中位から下位に低迷していた。彼なりに全力を尽くしたのではないだろうか。一方の鳥海龍は三段目・序二段で長く相撲を取り、鏡山部屋でただ一人残った先代（元横綱・柏戸）からの弟子となっていた。マネージャー就任が伝えられるのも当然だろう。二人の今後の健闘を祈る。
２０００／１／２４
「板井発言」の波紋が広がっている。フジテレビは昨夜の「スーパーナイト」、さらに今日のワイドショーでも午前・午後両方で八百長問題を取り上げたし、今日付の「日刊ゲンダイ」に至っては昨日の武双山−魁皇戦、貴ノ浪−千代天山戦も「怪しい」相撲だと指摘している。「ゲンダイ」の記事は事実関係についての基本的なミスもあるし（板井氏が襲名できなかった年寄名跡を「大鳴戸」としているが、「春日山」の誤り）、独断的に過ぎると思う。ただ武双山−魁皇戦に関する限り、誤解を招きかねないような内容だったのも事実である。
いずれにせよ、今のまま報道のみがエスカレートすれば、板井氏がフジテレビのインタビューで懸念を表明したように「真面目にやっていても八百長と思われる」ことになってしまう。協会がこれまで適切な対応を怠ってきたことのツケが回ってきたと言わざるを得ない。（なお私個人は、板井氏が講演で名指しした１８人の「疑惑力士」に、特定の部屋の所属力士が含まれていないことについて疑問も感じないではないが）
２０００／１／２３
千秋楽。武双山は親友・魁皇を一方的に押し出し、決定戦を待たずに初優勝を決めた。これで武蔵川勢の６連覇。武蔵丸が休場していたとは言え、出島・雅山と顔が合わない有利さがあったのは否めない。来場所は再び大関盗りである。一方、曙は今日も貴乃花に敗れて１１勝４敗で終わった。結果的には、場所前の予想（１０〜１１勝）が当たったことになるのだが・・・。
今場所注目してきた貴ノ浪は、千代天山を下して１０勝を挙げ、ついに大関復活を決めた。これで、『相撲』誌に連載されていた貴ノ浪の人生相談企画「にょ浪に訊け！！」も復活するだろう（笑）。しかし、今場所は武蔵丸の休場に助けられた感があるし、大関復帰後も厳しい戦いを強いられるかも知れない。幸い初場所後は巡業がないので、足腰の故障をじっくり治してほしいものである。
２０００／１／２２
１４日目。先週から『週刊現代』誌上で八百長告発を続けていた元小結・板井が、ついに外国特派員協会での講演で公に「八百長」を認め、曙その他の現役力士の実名を出した。相撲協会はこの告発に対し、予想されたように全面否定の構えを見せているが、私には板井氏の態度は非常に用心深く慎重に見える。協会の激震は避けられまい。
この事態に動揺したか、曙は千代大海に敗れた。今のままで行くと、武双山の初優勝は濃厚である。一方、貴ノ浪は元気のない魁皇を下して９勝目。明日の千代天山戦に全てが掛かる。
２０００／１／２０
１２日目。曙、栃乃洋に敗れて２敗目。武双山、雅山、旭天鵬が２敗を守ったので、俄然面白い展開となってきた。状況によっては貴乃花が逆転することもあり得なくはない（可能性は低いと思うが）。同様に出島もチャンスだったのだが、今日浜ノ嶋に取りこぼしてしまったため大幅に後退となる。
貴ノ浪は千代大海にまで敗れて５敗目。ついに崖っぷちに立ってしまった。残りの相撲を注目したい。
２０００／１／１９
曙は栃東を寄り切って１０勝１敗、トップを守った。休場明けとしてはでき過ぎとも言える好調さだが、合い口の悪い出島戦が残っているのでまだ予断は許さないだろう。２敗力士（武双山、雅山、千代天山、旭天鵬）は全員勝ったので、千代天山と旭天鵬のこれからの上位戦が注目される。
武双山に敗れたのが貴ノ浪。７勝４敗となり、大関復帰にはあと１敗しかできなくなってしまった。ここ数日の相撲を見ていると、楽観できる状況ではない。やはり場所前の危惧が正しかったか・・・。そういえば、もう一人大関の掛かっていた魁皇も５敗となっている。今場所は「もしや同時昇進も？」という期待さえあっただけに、貴ノ浪には何とか頑張ってもらいたい。
２０００／１／１７
９日目。曙・貴乃花の両横綱が、それぞれ雅山と土佐ノ海に敗れた。曙が敗れたことで全勝はいなくなり、混戦は必至だろう。雅山は初の横綱戦勝利となる。それにしても理解しかねるのは、横綱が前半戦に少し勝ち進むと「完全復活」と大騒ぎするメディアの態度である。上位力士との対戦は終盤に残っているのだから、もう少し冷静な目で眺めることはできないものか。
貴ノ浪は栃乃洋を退け、７勝２敗までこぎつけた。明日は出島戦で、いよいよ上位戦が始まる。貴ノ浪にとって苦手の武蔵丸が休場しているのはかなり有利であり、明日勝てば大関復帰は濃厚になると思う。
２０００／１／１６
１年振りの「天覧相撲」。貴闘力はこれまでの不振が嘘のように、一方的に大碇を押し出した。以前の天覧相撲でも曙を破ったことがあったし、ここ一番になると張り切る彼の面目躍如である。
貴乃花は武双山に土俵下まで吹っ飛ばされて２敗目、やはり以前の強さにはほど遠い。反対に武双山の好調さが目立つ。今場所は初優勝の絶好のチャンスではないか（武蔵丸の援護射撃は効かないが）。一方、今日の好勝負としては十両の智乃花−安美錦戦を挙げたい。年齢が１４歳違う小兵同士の取り組みだったが、智乃花が絶妙な立ち合いで仕留めた。今年で３６歳になる彼の気力には恐れ入る。
２０００／１／１４
元幕内・吉の谷の大鳴戸親方が亡くなったそうだ。まだ５０歳である。たまに衛星放送で幕下以下の解説を聞くことがあったが、判定に疑問を呈するなど率直な解説で面白かった記憶がある。親戚の力士が出羽海部屋に在籍していたが、彼も１年前に廃業してしまった（郷土力士で、応援していたのだが）。ご冥福を祈る。
曙は琴乃若を一方的に破って６連勝。動きがいいのは確かだろう。心配なのは魁皇戦で膝を痛めた肥後ノ海。今場所は調子が良さそうだっただけに、好事魔多しである。不振の貴闘力はようやく初日を出したが、引退間近の感を拭えなくなってきた。
２０００／１／１２
４日目。武蔵丸がついに今日から休場。初土俵以来初の休場で、北の湖を越えて史上１位となっていた連続勝ち越し記録（５５場所）もストップすることになった。本人も残念だろうが、横綱になってからの武蔵丸は様々な行事による過労のためか、毎場所のように小さな故障を抱えていた。この辺で一休みした方が今後のためには良い気がする。
幕尻の旭天鵬が元気だ。隆乃若を吊り出して４連勝。弟が高島部屋に入門したのも刺激になっているのだろう。貴ノ浪も土佐ノ海を破って４連勝、どうやら調子に乗ってきたようである。明日の曙戦が楽しみだ。千代大海は１勝３敗だが、星数より相撲内容がひどい。このままでは勝ち越しすら危ない。明日は勝てるかも知れないが。
２０００／１／１０
昨日とはうって変わって１横綱、２大関が敗れる波乱。出島は琴ノ若に寄り倒されて２連敗となったが、２敗とも合い口の悪い相手なので、今後持ち直す可能性はある。深刻なのは、琴龍に長い相撲の末敗れた武蔵丸。やはり左手が全く使えていない。いささか無理な出場だったのではないか。貴乃花と曙は２連勝だが、まだ何とも言えない。曙については、明日の武双山戦が調子を占うカギだろう。
大関盗りの魁皇は、苦手の琴錦をうまくさばいた。これは大きな１勝である。一方、関脇陥落の貴ノ浪は２連勝スタート。一見調子が良さそうだが、先場所も２連勝の後負け越しているので楽観はできない（初日の琴錦は、自分との対戦での怪我が大関陥落の原因となったことで、若干遠慮したかも知れない）。心情的には、是非１０勝して返り咲いてほしいのだが・・・。
２０００／１／９
今日から初場所。十両以上の休場者は若乃花と若の里。初日の土俵はまずまず上位安泰で、出島が土佐ノ海に寄り切られただけであった。土佐ノ海はこのところ四つ相撲に進境著しい。武蔵丸は左手を痛めていて心配されたが、魁皇を右上手一本で寄り切ったのには驚いた。しかし、今後もこのような相撲が取れるかは分からない。押し相撲の相手には苦戦しそうな感じもする。
上位以外での好勝負と言えば、玉春日−和歌乃山戦だろう。終始相撲は和歌乃山のペースで、玉春日は何度も手を着きそうになるなどピンチを迎えたが、最後に土俵際で逆転勝ちした。最近珍しい熱戦である。あと気になったのが、十両落ちした巌雄の元気のなさ。膝を痛めているとは言え、あまりにひどい負け方。今後が心配だ。
２０００／１／６
昨日の横綱審議委員会による稽古総見に、４横綱のうち休場明けの曙しか姿を見せなかったらしい（武蔵丸と貴乃花は出場するというが、いったい今の横綱陣はどうなっているのか？）。その曙、なかなか充実した稽古内容だったとのこと。しかし彼の場合、場所前は絶好調と伝えられても本場所で崩れるケースが多いので、とても安心はできない。稽古場では相手力士が本気を出していないのではないか。１０〜１１勝と見る。
今場所の注目はやはり、魁皇の大関盗りと貴ノ浪の大関復帰の成否である。魁皇は先場所の後半９連勝しており、リラックスしてその調子を持続できれば１２勝は狙えるだろうが、そううまくいくかどうか。武蔵丸・栃東・琴錦のうち何人に勝てるかがカギと見る。貴ノ浪は１０勝で大関復帰だが、慢性化した足腰の故障を治す暇もないようで、数字的には苦しい。時には立ち会いの変化もやむを得ないかも知れない。